伐り旬、それは冬
樹木には、伐採に最も適した「伐り旬」と呼ばれる時期があります。
春や夏、樹木は盛んに光合成を行い、大地から養分を吸い上げます。
そして樹木が一年の成長を終え、含水率が減少する冬の時期(10月中旬~1月下旬)、
それが良質の木材を生み出す「伐り旬」です。
伐り旬である冬期の中でも、特に質が高い木材となるのは、新月に近づいた頃に伐った木。
それは「月齢伐採木」(または新月伐採木、SLOW WOOD)と呼ばれています。
冬の新月の頃に伐採した月齢伐採木は、腐りにくく、曲がりにくく、丈夫で割れにくいという優れた性質を持ちます。
バイオリン等の楽器製作の世界では、月齢伐採木の質の良さは常識となっています。
このことは海外、そして日本の一部の地域でも口伝により伝承されてきました。
葉枯らし乾燥
(天然乾燥)
冬の新月の頃に伐採した月齢伐採木は、山で葉をつけたまま、
その葉が枯れるまで時間をかけて天然乾燥(葉枯らし)させるのが一番です。
なぜなら、葉からの蒸散作用により、その木の体内に残された水分と養分が
ゆっくりと消費されることで、虫がつきにくく、カビが出にくく、割れ難い、
色艶のある良質の木に変わっていくためです。
また、この方法では人工乾燥する際に排出されるCO2を大幅に削減することができます。
月齢伐採や葉枯らし乾燥は、自然の摂理に則した大変優れた方法であることが検証されていますが、
効率化が優先されがちな現代において、それを守り伝え活用し続けるための環境づくりには大変な努力が要るのが実情です。
アシストは、なんとかこの優れた伐採の智恵を今に生かし、絶やすことなく守り続けていきたいと考えています。
*アシスト代表畠中は、木とのつき合い方を、林業や建築業関係者だけでなく一般の人と分かち合おうとする「木暮人倶楽部」の理事として活動しています。